8月27日「功名が辻」を見ながら。

発端は司岐からのメール。「功名が辻にコニタン出た!」

佐々木は普段見てない(笑)
慌ててTVをつけたけど、結局見れなかった。

清正×小西 小ネタ。「婚前旅行は朝鮮です☆」
佐々木 この時は清正、26歳なんや〜。
司岐 清正、26歳!行って来い、小西と朝鮮に!
佐々木 旅行じゃないんだから。
司岐 いえいえ、婚前旅行って事で。
佐々木 デンジャ〜な旅行やね(笑)じゃあ、新婚旅行は何処だよ?
司岐 肥後。二人の国だから。そこが新居。
佐々木 デカイ庭だな(笑)
司岐 喧嘩したら
「実家に帰ります!」
って帰るの。
佐々木 堺に帰るの?
司岐 いえいえ、隣の自国デス。
普段は清正の所に入り浸ってるって事で。
此処から佐々木と司岐の台詞のみリレー文?
思いつきで書いてるので、矛盾が生じたり(汗)
無駄にいちゃついてたり…。
そして、無駄に長い。
小西、家臣たちに向かって。

小「デカイ男が来ても通したらアカンよ!」

言い残し、部屋に立てこもる。

家臣達「今回は何日篭るかな?」

家臣達の間では毎度喧嘩して帰ってきて篭る小西をネタに賭けをしてます。

家臣A「何日だと思う?」
家臣B「俺は2日。今日辺り出て来そうな気がするんだよな」

賭ける人間にいつの間にか、清正も混じってる。

清「俺は3日」
家臣A「ああ、3日ね〜。ちょうど良い頃…って入って来ちゃってる〜!」
家臣B「どど何処から入ったのですか!?」
清「そこから」(正面)
家臣達「ええ〜!?」

門番を見ると「ゴメンね」と謝ってる。
清正、脅して入りましたよ。

清「で、一口いくらだ?」
家臣A「えっと、6文…って加藤様はダメです!」
清「いいではないか。暇なのだ。混ぜろ」
家臣B「うあぁ、静かにしてくださいよ!」(自分らがうるさい)
家臣A「本気マズイって!帰る気ないなら、早く隠れてくださいって!」
清「小心者だな(苦笑)」
小「…何や、うるさいなぁ…」
家臣A&B「殿、キターッ!!」
清「…二日目か(約束通り、お財布出す)」

家臣A&Bに6文ずつ渡して、『早く行け』と合図。

小「なんっで、お前が此処におんねん!」
清「意外と早く出てきたな」
小「俺の質問に答えとらんし!!」
清「12文損した」
小「俺をネタに賭け事すんなて!ってだ〜か〜ら!!」
清「さて、帰るぞ」
小「ほ〜。無視ですかい?さっさと帰れ!」
清「何を言ってる。お前もだ」
小「はぁ?何言うてん?アホか。誰が…」
清「あまり手間を掛けさせるな」

小西を肩に担ぎあげる。

小「なっ!?降ろし!!」
清「じゃあ邪魔したな」
家臣A&B「殿〜お元気で〜」
小「ぎゃ〜!!お前ら〜助けろよ!!」

担がれて去っていく殿を、精一杯の笑顔で見送る家臣A&B。
きっとまた、殿は家出するに違いない。そのときは7文に値上げしてもイイかもしれない…。
そっと握り締めた6文を胸に、二人は優しい瞳で清正達の背中を見つめるのでした…。

完。

小「…って、終わるなっ!降ろせ!人さらい〜っ!!」
清「(毎回飽きないな…)屋敷に、梨が届いた。あの量は、一人では食えん」
小「梨…って、別に、家臣達と食うたらええやん!」
清「お前と食うつもりで届けさせた物だ」
小「…なんで、梨なんや?」
清「この間食べたいと言ったのは、お前だろう」
小「物で釣る気か?」
清「釣られるのか?」
小「…考え中」
清「そうか(その時点で、もう釣られてるだろ)」
小「ってか、いい加減降ろしてくれへん?頭に血ぃ上ってまうわ」
清「ああ、忘れてたな。だが、草履もないぞ」
小「人一人担いで、忘れるんかい!結構な馬鹿力で。ええわ。裸足で」
清「では、こうするか」
小「へ?」

上体が持ち上がり、上向きに。
いつの間にやら、お姫様抱っこ。
器用な清正。

清「これなら文句あるまい」
小「な…っ、文句なら大有りや!こんなムサイ顔、こない近くで見たないねん!」
清「(真っ赤になって叫んでも、説得力ないって気付いてないのか、コイツ)なら…」
小「?」
清「弁当売り宜しく、抱えなおすぞ…?」

下品上等☆エロボイス!

小「!!?…っ、こぉの、ど腐れがっ!!」
清「ふっ。誉め言葉と受け取っておこう」
小「…ほんま可愛げのないやっちゃな」
清「無くても別に困らぬ」
小「困る困る。俺が困る」
清「そうか」
小「…それだけかい!!も〜!!お〜ろ〜し〜!!」
清「そう暴れるな。落とすぞ」
小「それは痛いから嫌や」
清「其処に馬を繋いでおるから、もう少し大人しくしてろ」
小「ぶ〜…ほんまムカツクわ」

程なく馬のところに着く。

小「あれ?コイツ、いつもの馬と違うやん」

清正の愛馬が判る男(笑)

清「あぁ、途中で乗り換えたからな。百姓に世話を任せ、コイツを借りた」
小「そんな事悠長に言うて、売られてまうで」
清「お前の国の民だ。信に篤いに決まっておろう」
小「!!…そりゃ、おおきに」
清「まあ、中には一口6文で商売する者も居るがな(笑)」
小「くそガキっ!黙り!やっぱり可愛くない!!」
清「そう騒ぐな。馬が落ち着かん」
小「んむ。(慌てて黙る小西)んぎ!?イキナリ馬上に放りなげるな!アホ虎!」
清「いちいち文句の出る奴だな」

小西が体勢を整えると後ろに乗る。

小「文句言いたくなるような事ばっかしよるからやろ。俺が手綱とってエエのん?」
清「お前に任せると何処に行くか解らぬからな」

小西を包み込むように手綱をとる。

小「!めっちゃ恥ずかしいわコレ!!」
清「騒ぐと落ちるぞ」
小「も〜…アカン。虎の神経解らん」

ようやく大人しくなった小西。
比較的真っ直ぐな道を進んでいると、突然小西が手綱をとってる手を押さえ、振り向いたと同時に清正に口付ける。

清「!?や、彌九郎!」

慌てる清正と、してやったりの小西。

小「いつもやられっぱなしじゃ割りに合わん」
清「全く、お前という奴は…っ!齧り付くのは、梨だけにしておけ!」

不意打ちに意外と弱い清正。眉間をよせて、小西を見やる。

小「はは!虎、真っ赤や!あ〜、面白いわぁ。ほら、馬吉。お前も見てみぃ」
清「彌九郎、勝手に他人の馬に名を付けるな」
小「ええやん、ちょっと位。なぁ、馬吉?この手綱取りは、小言が多くてうるさいねん。面倒な男やね〜」

小西の言葉尻に、無言で馬を止める。

小「なんや?本気怒ったんか?短気は損気やで〜」
清「(お前に言われたくない)いや、少し動揺したな。お前が手綱取れ」
小「?はいはい。しゃあないなぁ。よろしゅう頼んまっせ馬吉」

言葉に合わせて馬が口を震わす。

小「ほれ見てみ。馬吉気に入りよるよ」
清「それは良かったな(呆れ気味)」
小「ほな、行きまひょか〜」
清『上機嫌だな…』

遅くもなく、速くもなく。元は農耕馬と思われる借り馬は、まるで人を乗せ慣れた感さえ思わせる足取りで街道を進んで行く。
手綱を操る小西は、先程の事もあり、見るからに機嫌が良い。
上下に揺れる白い項を見つめ、清正は口元に笑みを刻んだ。

清『さて、どう出る?』

湧き上がる悪戯心のまま、清正の掌が小西の脇腹をゆるりと撫で上げる。一瞬肩を震わせたのを見逃す訳もなかったが、清正はさも偶然を装った仕草でもう一撫でし、小西の背を包むように上体を整えた。
無論、身体が必要以上に密着するのは承知の上で。

小「……あ〜の〜。清正はん?」
清「なんだ?気持ち悪い呼び方をして」
小「なんやの。この手」
清「手?落ちぬよう掴んでいるだけだが?」
小「(シラをきるつもりか?)そうどすか。後、くっつき過ぎと違います?」
清「気のせいだろ」
小「どうにも、虎を振り落としたなってきた」
清「物騒だな」
小「どっちが!」
清「しかし、この馬では無理だろう」
小「…せやな…ってか、それ狙いで馬替えたんか!?」
清「さあな」

清正、小西の着物の合わせから手を忍ばせ、更に項を吸い上げる。

小「!?やっ…ちょお!こない所で何しよんねん!」
清「先程の礼だ。…ああ、ちょうど此処だな」

馬を預けていた家に到着。
清正が馬を降り、戸に向かう。
その背をジト目で睨みつつ、馬の首に抱きついた。

小「仕返しに仕返しされた〜。しかも、何倍にもなって返ってきたで〜(泣)」


【ここで司岐から「梨食べるまでだと長くね?『馬吉編』で切るのがベストかと(逃)」と入る。確かに長い。無駄に長い。まだ続きます(礼)】


馬を預けた百姓が泊まっていけと強く推し、清正が二つ返事で快諾。
馬吉と戯れてた小西は、中でそんな話になってたなんて全然知らない。
百姓は清正の馬が余りにも格好良いので、彼を種に馬吉の子供が欲しくなってます(本気)
えぇ。だって馬吉は雌馬ですよ?(衝撃)

清「もう、陽が暮れるからな。此処に泊めてもらう事になった」
小「は?なんでまた?」
清「此処のオヤジが言い出したんだ。あと、どうも俺の馬が気に入ったらしい」
小「くれって?」
清「いや、その馬とかけたいらしい」
小「へ?馬吉、女の子やったん?」
オヤジ「あれ〜?彌九郎ちゃんじゃなかか?」
小「?あ〜!おっちゃん!此処おっちゃん家?」
オヤジ「いっつも会うんは田んぼだでのぅ(笑)」
清「知り合いか?」
小「虎んとこ行く時、このおっちゃんの田んぼを通んねん」
オヤジ「こん人、彌九郎ちゃんの知り合いかぁ」
小「知り合いっちゅうか、腐れ縁?おっちゃん、虎の馬気に入ったん?」
オヤジ「そうじゃ。こげん素晴らしか馬、なかなか居らんわい。だでこん馬吉と合わせよ思っとったよ」
清『馬吉?』
小「せやったんか〜。良かったなぁ馬吉。虎は嫌な奴やけど、あの馬虎はエエ馬やで」

小西、馬吉の首を撫でる。

清「一つ聞くが、この馬の名は馬吉なのか?」
オヤジ「おお、前に彌九郎ちゃんが付けたんじゃ」

どうやら馬吉、女の子なのに、以前小西に馬吉と名付けられてたらしい(笑)

オヤジ「なして彌九郎ちゃんは裸足なんじゃ?」
小「へっ?ああああ。色々事情があってん。忘れてきた」
オヤジ「ウッカリさんじゃなぁ」

小西、草鞋を貰う。

清「全く…あれの名は馬虎なぞではないと、何度言えば判るのだ、お前は」
小「意固地やなぁ、ホンマ。ええやん。虎の馬やって、皆が判りよるし。何があかんのん」
清「二つ名で呼ぶと、あれが混乱する。…履いたか?ほら」

ナチュラルに小西の手を取る清正。

小「ふぅん?せやけど、馬虎は嫌がってへんもん。ん、おおきに」

無意識に手を借り下馬する小西。
二人のやり取りを、頷きながら見つめるオヤジ。

オヤジ「いやぁ〜。彌九郎ちゃん達は、ほんに仲良しじゃのぉ。こげな事なら、布団は一つで良からなぁ」
小「えっ!?」
清「…すまないが、別にしてくれぬか?コイツ(小西を指差し)は寝相が悪くて、敵わん」

断ってくれたのは有り難いが、聞き捨てならない。

小「いつ、誰が寝相悪いって?」
清「寝てる時のお前。まあ、疲れてる時は大人しいがな」

清正、ニヤリと笑う。

小「うきゃ〜!めっちゃムカツクわ!」
オヤジ「ほんに仲がエエのぅ。ま、とにかく中に入り」

改めて手振りで中に入るよう指し示すと、オヤジは馬吉の綱を取った。
離れから、おそらく清正の愛馬の力強い嘶きが聞こえる。

清「羨ましいか?だが、邪魔はするなよ」

長年一緒だからこそ判る、イヤラシイ笑みを含ませた声が、小西の耳朶を擽る。
息の掛かった耳を押さえ、小西は精一杯睨みつけた。

小「誰が!くそっ!先に上がらせてもらうわ!」

家に入っていく小西の背を楽しそうに眺める。

清『全く、その表情が情欲を誘ってる事に気付かないのだな…まあ、言うつもりもないが』

なんだかんだで、小西のその表情が見たくて、つい虐めてしまうのだった。

中に入ると、顔見知りの家とはいえ、初めて入る家に居場所がないのか、隅に小さくなって座っている小西が目に入る。

小「馬虎と馬吉、仲ようなるかな?」

少し不安げな表情で清正を見上げる。

清「さあな。相性なんぞ、それぞれだろう」

そう言って清正が腰掛けると、小西が擦り寄ってきて、清正の肩に頭を乗せた。

清「どうした」

怪訝に肩眉を上げて尋ねる清正に、小西は上目遣いのまま数度瞬くと、少しだけ不貞腐れた仕草で唇を尖らせた。

小「別に、何でもあらへん」

何でもない訳がない。
ぷい、と外方を向くくせに動こうとしない小西に、清正は小さく溜息を漏らした。

清「…脱げ、早く」

どこか嗜める様に囁き、風に乱れた髪を梳く―――瞬間、真っ赤になった小西が、弾かれた様に肩から顔を上げた。

小「!!?〜〜!」
清「…ふっくくっ。何か勘違いしておるな。草履の事だ」
小「あぁぁぁぁぁぁぁ!!主語無さ過ぎや!!」
清「状況的に解るだろう?」
小「はめられた〜!」
清「まさか、そんなにしたかったとはな…」
小「ちゃうちゃう!虎の罠に掛かってもうただけやん!」
清「仕方の無い奴だな。屋敷に帰ったら、可愛がってやる」
小「あ〜…帰りたなってきた」
清「お前の処でも構わぬぞ」
小「それも嫌やぁ」

清正は手桶に水を満たすと、じたばたと暴れる小西の足を掴み引き寄せた。

小「ちょ…っ、自分でやるし」
清「ついでだ」
小「ついでって…ちょぉ、足の指とか裏とか、擽るんやない!」

戯れを仕掛ける清正を押し返し、四つ這いのまま逃げるように小西が部屋に上がりこむ。
緩やかな動作で後を追った清正は、上座へ小西を押しやると、

清「お前が何者か知らぬようだが、其処に座る事は拒むまい」
小「せやけど、虎はええのん?」
清「別に。此処はお前の国だからな。俺は構わん」

どかりと腰を下ろし、口端を緩ませた。

オヤジ「お二人とも、夕餉は食いなさるかね?」
清「あぁ。酒と肴があれば言うことないな」
オヤジ「そりゃ間違いない!っと?」

酒を手に土間から上がってきたオヤジが、不思議そうに小西を見る。

小「あ〜…、おっちゃん。これは」
清「コイツの方が年上なんだ。こう見えても」
小「おい、虎。こう見えてもって、そら何やねん」
清「事実だろう?お陰で尻に敷かれっぱなしだ」
小「せやなぁ。あんまり座り心地良い敷物やあらへんけどな…って、俺は姐さん女房かい!」
オヤジ「はっはっはっ。ほんに、おかしかなぁ」

そんな和やかな雰囲気で始まった酒盛りに、最初に脱落したのは小西だった。
酔ったというより、眠気が勝ったようだ。

清「おい。寝るなら布団を借りろ」
小「ん〜そうする〜」
オヤジ「どう見ても、お前さんの方が保護者みたいやのぅ」
清「全く、頼りなくて困るな」

清正とオヤジは顔を見合わせて笑う。

オヤジ「でも、好きでやっとるように見えるのぅ」
清「まあ、そうだな」
小「〜〜も〜、眠うて、突っ込めへん…」
清「いいから、寝ろ」

広さがある奥座敷を拝借し、小西はバタリと布団に倒れこんだ。

小「(あかん…多分今、布団二人分の上に倒れてもうた…はよ退かんと…)うぅ〜」

必死に動かそうとするが、瞬き一つすらままならない今、それは所詮無理な話で。

小「う〜んむぅ(諦めよ)」

堂々と布団を独り占めのまま、小西は小さく寝息を立て始めた。

小「(小西隊、敗走や…)」

清正が見たら、色気の無いと嘆くような格好だったが、睡魔に降伏した小西にとっては些細な事。
微睡みに身を委ねながら、小西は呆れ顔の清正を思い浮かべた。

暫くそのまま寝ていると、襖が開く微かな音で、小西の意識が少しだけ浮上する。

清「…全く…横に寝るか?」

溜息と共に小さく呟かれた言葉に、小西が心の中で、理由を述べる。

小「(だって、眠かったんだもん)」
清「それにしても、あまりな格好だな…」

呆れた声に、小西が心の中で叫ぶ。

小「(仕方ないやん!眠気には勝てへんもん!袴穿いたままだろうが、大の字に伏せてようが、多少ヨダレが出てようが、動かれへんやもん!)」

顰めっ面で唸りつつ寝ている小西を、清正が楽しげに見やる。

清「う〜とか、む〜と…寝ながら文句言ってるな」
小「(くそっ!誰が寝言やねん!ちょっとばかし口が回らんだけやないかい!このチビ虎、顔貸しぃ!)」

小西、気持ちだけ戦闘モード。

清「今度は怒ってるか。器用な奴だな」

とりあえず、うつ伏せに寝ている小西を引っくり返すと、一瞬身体が強張ったが、すぐにダラリと力が抜ける。相当眠たいらしい。
このまま布団に押し込んでも良いが、袴が皺になるなと思い、袴を脱がせる事にした。
その間も小西は「うにゃ、のにゃ」と言葉にならない文句を言っているようだった。
どうにも、寝ている人間の服を脱がせるのは、手間だと思ったが、よくよく考えてみると、小西は起きてても大変だったと思った。
袴を脱がせて、小袖だけにしてやると布団に押し込んだ。

清「全く…世話のやける…」
小「にゃ〜」
清「…猫か?」

清正は寝る準備を整え、横になる。自他共に認める神経質な質故、馴れない環境になかなか眠気が来ない。一刻程すると、ようやく眠気がきた。
その時、背を向けていた為、後ろで寝ていた小西が起き上がるのが解った。

小「…虎、寝とる?」

返事を返そうと思ったが、自分が思うよりも眠りに入っていたらしく、声にならなかった。

小「…ごめんな…最初の喧嘩、俺が悪いやんなぁ。せやけど、素直には謝られへん…虎之助は、なんやかんやで優し過ぎや。俺、甘えてばっかや…」

背中に向かって小西が項垂れる。
清正が突然起き上がった。まるで、獲物を見つけた獣の身の起し方だ。
少しだけ不機嫌そうな清正の瞳に、小西は思わず視線を逸らす。

小「何や…起きたんかい」
清「あぁ」
小「そうか。俺も…その、目が覚めて、今起きたとこやねん。うん。」
清「あぁ」

夜目でも判るほど、小西の顔は真っ赤だ。
余りにも下手くそな嘘のつき方に、清正の瞳が緩む。小西の手を掴み、清正は自身の身体の下に引き入れる。
意識が違う方へ向かっていた為か、呆けた顔をしている小西に、清正は口付けた。
そこで何がおきてるのか理解した小西が抵抗を示すが、既に絡め始めていた舌を吸うようにきつく絡めると、抵抗を止め、襟元にしがみ付く。その指さえも次第に力が抜けていく。
そこで唇を解放すると、空気を吸い込んだ後、小西が潤んだ瞳で清正を睨みつけた。

小「な、にしよんねん」
清「構わぬぞ。素直じゃないのも、甘ったれなのも、全て含めてお前だろう」
小「…」
清「…違うか、彌九郎?」
小「――っ」

吐息のような清正の台詞に、小西の肩がぴくりと弾む。

――こんな時に名を呼ぶなんて、どこまで酷い男なのだろう。

羞恥で泣きそうになりながら、小西は清正の肩を押し返し、

小「…恥ずかしい事抜かすな、アホ虎…っ」

身体の微かな変化を悟られまいと、必死の抵抗を試みる。

清「…まずいな」

ふと、清正が小西から目を逸らす。

小「何がや?」

その間も上に居る清正を退かそうと、踏ん張るが、上手く力が入らない。

清「このまま、お前を抱きたくなってきた」
小「!ちょっ、な」
清「静かにしろ。まぁ、本気だが、冗談だ(苦笑)」
小「当たり前や。人様の家でできるか」

言った後、しまったと顔を歪める。
逆を言えば「人様の家でなければ良い」と言ったようなものだ。

清「言ったな」

逃すまいといった笑みを口元に表す。

小「いや、そうやなくて、も〜俺ってアホ?」
清「だな」
小「さっきの聞かなかった事にせえへん?」
清「しかと聞いた」
小「う〜っ!虎のいけず!」
清「ふ…っ。待ち遠しいな」

人の悪い笑みを浮かべる清正を尚も押し返しながら、小西は不意に思い出す。

小「(せやった…コイツ、好物を最後まで残す奴やった…)」

おれは食べ物と同じかい、と思わず小声で突っ込む小西を、清正は上機嫌で再び掻き抱くと、
清「熟すまで、待つのも悪くない」
小「熟すって、俺は果物みたいやないって、もう寝とるし…」

切り替え早っ!人を抱き枕みたいに抱えおって、顔は見えへんけど、さっき見せたような笑みでも浮かべてるんだろう。結局、なんだかんだ言ったって、自分も嬉しいんだから、重症だ。
色々考えたって仕方ないと、小西も清正の腕の中で大人しく眠る事にした。





続き。

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長い。
小ネタじゃない長さ。

20060905   佐々木健&司岐望