湯巡り湯煙温泉旅行B
正則×吉継&清正×行長





勝負を始めてかれこれ2時間。勝負は引き分けという結果になっていた。

「なかなかやるのぅ」
「絶対勝てる思うとってんけどな」

点数を台帳に記入してもらい、清正と吉継が居た場所を振り返ると、其処には知らない人が…。

「あれ?何処行ったん?」
「そういえば、先に行ってるとか何とか言っておったような…」

携帯を見ると、数件のメールが入っている。
それは吉継と清正からで、

『吉継:二の湯に居るよ』
『清正:竹乃湯だ』
『吉継:まきまきパン美味しかったよ』
『清正:晴湯に居る』

「「晴湯に居るって」」

ハモった。
行長は清正に、正則は吉継に電話を掛けるが繋がらない。入浴中なのだろう。

「繋がらへんなぁ」
「とりあえず、晴湯に向かうか」

射的場を出て、晴湯に向かう。
しかし、更なる誘惑が二人に降りかかった。

温泉まんじゅうBOX。

説明しよう。温泉まんじゅうBOXとは、まずこの空のBOXを買い。各旅館の温泉まんじゅうを好きなように詰めていくというものだ!ちなみに、温泉マップも書いてあり、大変便利な仕様となっている!(説明になってない)

「清正と吉継はん、この話はしとらんかったなぁ」
「って事は知らんかもしれんな」

顔を見合わせ、ニカっと笑い合い、温泉まんじゅうBOXを購入した。

お陰でアッチに寄り〜コッチに寄り〜でなかなか進まない。
そんな時に二人の携帯にメールが届いた。

『吉継:宿に戻ってるからね』

まんじゅうを食べながら、メールを読む。

「もう宿に戻るんか」
「…正則!今何時や!?」

自分も携帯を持っているのに、人に尋ねる行長。

「あ、7時丁度じゃ」
「晩メシの時間や!」

19時に食事を頼んでいた事を思い出す。

「「信州牛!」」

食いしん坊万歳な二人は信州牛の為に宿に走った。


宿に向かって走っていたが、突然行長の足が止まる。

「ちょお待ちぃ!」
「なんじゃぁ?」

続いて正則も足を止めた。
一刻も早く信州牛にありつきたいと言うのに、何事だ!といった表情で。

「見てみぃ」

そう言って指を差した先にある物。

名物まきまきパン。

「こ、これは…吉継が言っておった…」
「美味いまきまきパンや!」

美味いと言われてしまっては食わなければ!

どこまでも食いしん坊万歳な二人であった。
各々一つずつ購入。早速頂く。
この後、信州牛が待ってるからと、半分ずつにしよう。なんて考えは二人にはない。
ちなみに、清正と吉継は半分こっこして食べました。まあ、これは内緒の方向で(笑)

「クリームパンや!」
「懐かしい味がするのぅ」

パンをモグモグ食べ、

「「美味い〜☆」」

見事なハモりに店員さんも笑っている。
そんなこんなをしながら、やっと宿にたどり着いた。


お食事処の個室に居るという事で案内してもらい、やっと合流を果たした。

「あっ、おかえり。丁度良かったね」

吉継が笑顔で迎える。
丁度料理が運ばれて来た所だった。

「ずっと射的をしてたのか?」

食前酒の自家製果実酒を飲みながら、清正が尋ねる。

「ん〜。晴湯に居るっちゅうメール見て、向かってたんやけどな」
「この温泉まんじゅうBOXを見付けてなぁ…」
「集め始めちゃったんだ?」
「「はい」」

二人の返事に清正が溜め息を吐く。

「賭けは私の勝ちだね」
「「は?」」

清正が財布から千円札を取り出し、吉継に渡す。

「お前らが、その箱に気付き、まんじゅうを集めるか集めないかで賭けをしたんだ」

最初の一湯で始めた賭事。
ずっと同じ意見になっていて、この温泉まんじゅうBOXで初めて賭ける事になったのであった。

「食べ物には目敏いもん。絶対集めると思ってたんだ」
「時間が無いから見落とすと踏んだのだがな…」
「なんやねん!人を勝手に賭けの対象にすな!」
「吉継が勝ったんなら、エエわ」

とりあえず食事を始める事にした。

献立は前菜に鮟肝のぽん酢餡かけ。合鴨の燻製。川海老艶煮。
造り、鹿のたたき。サーモンと岩魚のお造り。
焼き物、鯛の巻繊焼き。
小鍋、地鶏の辛味噌仕立て。
鍋物、信州牛のしゃぶしゃぶ。
洋皿、牛タンのデミグラスソース煮込み。
揚げ物、じゃが芋まんじゅう、葱味噌風味。
煮物、海老芋含煮、蟹餡かけ。
酢物、きのこサラミマリネサラダ。
食事、きのこの炊き込みご飯。
椀物、信州味噌仕立て。
香の物、白菜切り漬け。野沢菜漬け。
甘味、抹茶求肥透かし葉包み。

この様になっております☆



「うっしゃ!しゃぶしゃぶや〜!…これって肉追加出来るんかな?」
「私の分もあげるよ」
「マジで!」
「吉継、肉も食わんといかんぞ」
「肉ばかりじゃなく、野菜も食えよ」
「「え〜」」

何だか好き嫌いを言う子供と、たしなめる母親の様だった。
そんなこんなで進むお食事。

「そういえば、正則と行長はお風呂入ったの?」

吉継の問いに、行長は肉を頬張りながら首を横に降り、正則は箸を落とす。

「あ〜!!」
「どうしたんだ?」

正則の突然の叫びに皆驚く。

「正則、何か忘れ物でもした?」

吉継は正則が落ちた箸を拾う。
その間も正則は口を開け、呆然としていた。

「ど、どないしたん?」

正則の尋常ではない様子に、全員不安になる。

「よ…」
「「「よ?」」」

正則の次の言葉を、息を飲んで待つ。

「吉継と一緒にお風呂に入り損ねた!!」

膝立ちで叫ぶ正則と、その場でコケる3人。

「ちょっ…正則!!」

慌てて吉継が正則の浴衣の袖を掴む。

「それを第一目標で来たんじゃ!」

第一目標なのに忘れるなよ。

「なんやねん。それ!」

行長が笑いを堪えつつツッコミ、清正が呆れ顔で溜め息を吐いた。

「明日もあるんだ。まだチャンスは山とあるだろ」
「うぅ〜そうじゃが……ああ!!」

ショボンと座った正則だったが、再び、今度は完全に立ち上がる。
今度は一体何だ?と皆で見上げると、正則は物凄い形相で清正を睨み付けている。

「清正ぁ…」
「…何だ?」

対する清正も冷めた目で正則を睨み上げた。
この二人が喧嘩とは珍しい。しかし、何とも恐ろしげだ。
だが、正則の怒っている理由が解らない。
吉継も行長も不安そうに二人を見る。

「…お前…」

今にも飛び掛りそうな正則に、清正も立ち上がろうとし、何とか止めようと、吉継も立ち上がった。







続き。   



正則と清正に一体なにが!?(笑)

20070207   佐々木健