膝枕
清正×行長





「虎〜居てる〜?」

「ん?どう…」

机に向かったまま返事をしかけた所で背中に小さな衝撃があった。
首をひねり、後ろを見ると、行長の頭が見える。

「彌九郎。どうした?」

「ねむ〜…」

それっきり言葉が途切れ、代わりに寝息が聞こえてきた。
こんな状態の行長が意地でも起きない事は、清正も良く知っているし、ここ最近行長が「忙しい。忙しい」と走り回っていた事も知っていた。
しかし、背中に頭を付けたまま寝られては身動きがとれない。

「おい…その体勢で寝るな」

「…ぃやや〜…」

(餓鬼か?)

駄々をこねる様に清正の背中に額をぐりぐり押し付けている。

「それじゃ寝にくいだろ?」

「……」

働かない頭でもこのままでは寝にくい事を何とか理解したのか、行長が背中から離れた。
褥を用意させようと振り返ろうとした清正の膝に重みが掛かる。

「!?」

何事かと下を見れば、清正の膝を枕に行長が眠っている。
清正は一つため息を吐くと、行長の柔らかな髪を撫でた。

「ん〜…」

それが心地良かったのか、子猫の様に擦り寄ってくる。





良い夢が見れますように―――





祈る様に清正は再び髪を撫でた。










おわり。


短いですが…。
司岐がキヨコニ不足に陥ったので、急遽書き上げたブツ。

眠いのは佐々木だ。

20070821   佐々木健