「Catnap」の続きです〜。 12月31日〜1月1日のお話です。 恭さまと一緒に書かせて頂きましたvv |
New Year 左近吉継 |
あの後、また目を閉じて眠ってしまった左近さんは本当に寝惚けていたのか、起きた時には、その前のやり取りを忘れてしまっていた。 少し寂しい気もしたけど、誰も知らない左近さんとの約束を持った事で、私は嬉しかった。 12月31日。 今年最後の買い出し。 今の時勢、正月だから店が休みという訳ではないのだが、正月は何処も混むから、という事で食材を買い込んでいく。 カートを押す左近の前を吉継が、あちこち見ては、カゴに商品を入れていった。 あらかた買う物は入れたか。という時に、吉継が何かを思い出して左近を振り返る。 「あ、年越し蕎麦。まだ買ってなかったですよね?」 「そういえば…」 買ってないですね。と呟き、何かを考え込んだ。 「左近さん?」 「吉継さん。今年はどんな年でしたか?」 左近の質問に、今度は吉継が考え込む。 (今年は…いろんな事があった。でも…) 「今年は、とても幸せな年でした」 力強く、嬉しそうに言う吉継に、左近も笑みを返す。 「でしたら、蕎麦じゃなくて、うどんにしましょうか」 「え?」 年越しうどん?首を傾げる吉継に、左近が、人から聞いた話なんですけどね。と続けた。 「蕎麦には長寿を願う意味がありますが、切れやすい事から、一年の苦労を断ち切る。という意味があるんです。だから、良い年だったなら、それが続くように、切れにくいうどんを食べるのだそうですよ」 まあ、後付けでしょうが。と笑う。 「縁起物ですしね。これからも、ずっと続く方が断然良いですよ」 うどん買ってきます。と売り場に引き返す吉継を、 「ずっと、幸せですね」 幸せな笑みを浮かべて見送った。 「除夜の鐘でもつきに行きますか?」 新年は二人だけで迎えたいといえばそっと笑みを浮かべてくださいました。 「今年はお世話になりました」 「来年も、よろしくお願いしてもいいでしょうか?」 「当たり前ですよ」 抱きしめられて、左近さんの腕の中、新年の鐘の音を聞いていた。 除夜の鐘も終盤に差し掛かった頃、胸に掛かる重みが増す。 そっと覗き込むと、吉継が穏やかな寝息を立てて眠っていた。 頬に掛かる髪を後ろに流すと、擽ったかったのか、僅かに眉が寄り、ぐずる様に左近の胸に顔を押し付ける。 「…これでは、煩悩も消えませんね」 いつの間にか除夜の鐘も聞こえなくなっていた。 懐中時計を開き、時間を確認すると、丁度針が12で重なっている。 きっとテレビやラジオ、近所の人達は新年を迎え、大騒ぎしている事だろう。 しかし、此処では静寂の中。二人きりの新年の幕開け。 吉継は新年を迎えた事に気付いていないだろう。 「明けましておめでとうございます…良い夢を」 そっと頭を撫でると、気のせいか、笑ったように思えた。 「…起きましたか?」 うっすら開いた瞳を覗き込めば少し驚いたように彼が目を見張る。 「…さ、こん…さん?」 寝起き独特のかすれた声で名を呼ばれてドキリと胸が高鳴るのに苦笑を浮かべる。 「おはようございます」 「あ…おはようございます」 目をこすって挨拶をしてくれた彼に笑みを浮かべてその頭を撫でる。 昨日ソファーで眠ってしまった彼を起こさぬようにベットに横たえ抱くようにして寝てしまった。 寝たと言っても飽きずに彼の寝顔に見入っていたから寝たのはほんの短い時間だけだったけれど。 「今年もよろしくお願いいたします」 額をあわせるようにして囁くとその顔が一瞬にして笑みに変わる。 「よろしくお願いいたします」 言って抱きついてくる彼を抱きしめ返して、このまま食べてしまいたい衝動に駆られる。 「煩悩を払ったはずなんですがね」 苦笑を浮かべて呟いた言葉は懐くようにじゃれるように抱きついている吉継さんには聞かれずにすんだようだった。 終わり。 |
サコヨシも新年迎えました〜☆ いまさらですが、実際はちゃんと日付通りに新年迎えていました☆ 20080113 恭さま&佐々木健 |