行きたいね。南半球。 「真夏の豪州であの子にキッス☆」(正則×吉継&清正×行長) |
旅行代理店のCMを見た正則。 家に帰るなり、靴も揃えず、一目散に吉継の元に駆け寄る。 「吉継!吉継っ!」 「帰って早々騒がしいね、正則は。はい、おかえり」 突然駆け寄ってきた正則に驚きもせずに吉継は答えた。 「ただいま!…じゃなくて!旅行行こう!オーストラリア!」 吉継の手を取り、上下にブンブン振り、 「いきなり、何?」 「うむ!行ってな、向こうで鬼ごっこするんじゃっ!」 「…はい?」 オーストラリアの鬼ごっこは、鬼が捕まえた子にキスするらしいですよ。 まぁ、やはり男女間で、ですが。 だって、Lo○kJ○Bポスターにあったもん(笑) というわけで、オーストラリアに行きたい正則。 吉継を口説き落とせるか!? マサヨシINオーストラリア☆ 『吉継っ!捕まえたぞ!』 後ろから腰を抱く様にホールド。 『正則、足速いもん…逃げ切れないよ』 『逃すつもりは無いからの』 吉継をクルっと反転させて、ちゅ〜☆ とろけた吉継を抱えて、ホテルへお帰り。 なんて妄想中の正則でした(やっぱ妄想終り) 「な、オーストラリア行こう!コアラも居るし、カンガルーも。羊だって居るぞ!」 指折りオーストラリアに関係のある動物を挙げていく正則。 「…別に動物見たい訳じゃないし」 「!!今、日本と違って夏じゃ!」 「…暑いの苦手だもん」 明らかに不快そうな顔をする吉継。 (そうじゃったぁ!吉継は嫌いな季節は?と聞かれたら、笑顔で「夏」と答える位夏が嫌いじゃったぁ!) どうする!?正則!! 「真夏の豪州であの子にキッス大作戦」が!! 開いた口が塞がらない状態の正則に、吉継は首を傾げる。 「ねえ、何でオーストラリアに行きたいの?」 「へ?…いやな。鬼ごっこがしたいんじゃ」 最初と同じ返事をすると、吉継は不思議そうに今度は反対側へ首を傾げた。 「鬼ごっこならココでも出来るじゃない」 そりゃごもっとも。 「お、オーストラリアじゃなきゃ、イカンのじゃ!」 あくまでオーストラリアを主張する正則に吉継は溜め息を吐いた。 「今やってる仕事が終わったら、少し日が取れるけど、正則は休み取れるの?」 流石に週末だけでオーストラリアは厳しい。 それに正則は高校の教師だ。そうそう簡単に休みは取れない。 「とる!何が何でもとる!」 「(そんなに行きたいんだ…)パスポートは?」 正則、今まで海外に行った事がありません。 「あ!…でも、すぐに申請する!」 「で、鬼ごっこって、捕まえたら何かするの?」 「オーストラリアの鬼ごっこはな、捕まえたらキスするんじゃ!」 「やっぱり、そういう魂胆か」 「あ…」 つい、バラしちゃった☆ 吉継は大きく溜息を吐くと、腕を組んで正則を見据えた。 「行かないよ」 「吉継〜でも、さっき…」 「日が取れるとは言ったけど、行くとは言ってないもん」 真夏の豪州であの子にキッス大作戦失敗☆ がっかり正則。 そんな正則とは対照的に…同じくポスターを見た清正は、有無を言わさず行長を連行して機上の人となった。 「しっかし、なんで突然オーストラリアやねん」 何処に行くとも何も告げられずに、連衡された行長だったが、旅行や楽しい事が大好きなので、オーストラリアに着くと、嬉しげに背伸びをした。 そして、ホテルに荷物を置き、早速外へ。 ホテルを出た所で、突然清正が立ち止まる。 「?どないしたん?」 「じゃんけんぽん」 「!?」 突然のじゃんけんに思わずグーを出す行長。 それを知っていてチョキを出し負ける清正。 「じゃんけんなんて…」 「鬼ごっこだ。俺が鬼だから、逃げろよ」 「へ?」 「1、2、3…」 「え?え?」 訳も分からず逃げる。 (何だかわかんないけど、逃げろ!) 「何やねん、鬼ごっこって!うわっ、もうあないなとこまで来よる!」 振り返り、振り返り、清正との距離を計る行長。 気付けば、青い海の波打ち際で、追い掛けっこ状態。 「まさか…」 『待てよ行長!』 『アハハ、遅い遅い!そんなんやったら、夕暮れまで捕まらへんで!』 『言ったな!…こいつ☆』 『うわっ!』 『…夕暮れまで、待てるわけないだろ…?』 『…うん…』 「――…って『…こいつ☆』って何やねん!『…うん…』って何やねんっ!?」 一人百面相。 背後の清正が、訝しんでるぞっ!? ってか、実際清正が考えてるのも、あんまり変わりないけどな☆ 「と、とにかく!そないキショイ事しとれるか!っ!?」 さぶいぼを立てつつ、こうなったら全力で逃げるに限る!と足に力を入れたところで…。 「捕まえた」 「ぎゃ〜!ま、まだ『待て待て〜』も『コイツ☆』もしとらんやんか!」 したかったのか? ジタバタする行長を怪訝そうに見つめる。 「?何を言ってるんだ?」 「はっ!?いやな。その…」 言える訳ない。 あれこれ考えてる間に、顎を捕らえられ、唇を重ねられた。 「!?☆△○!!?」 何が何だか分からず、されるがままにキスされる。 「んっ…」 しかし、触れるだけのキスをして、唇は解放される。 「なっ!?」 「まずは飯でも食うか」 普段と違うキスをされて、戸惑う行長を置いて、清正はスタスタと歩き始める。 「へ?」 「何が食いたい?」 動かない行長に清正は足を止めて振り返った。 「あ、とりあえず肉って!ちゃうわ!」 一人ツッコミ。 「違うのか?」 心なしか清正が笑っている。 (う〜…ワザとや…) 「どうするんだ?」 何か言い返そうと、考え込む行長だったが、ある意味恥ずかしい。 「ほら、置いて行くぞ」 顎をしゃくり、清正が行長を呼ぶ。 しかも、だ。 腰を抱くとか、腕を組むどころか、手すら繋ぐ気も無い雰囲気だ。 (ワザとや!絶対にワザとやっ!) 初心者みたいなバード・キスは、いつも仕掛けられる恋人同士のソレよりも何故だか妙に照れ臭くて。 「…くそぅ…っ」 立ち止まったままの行長は、物足りなく感じる自分に頬を膨らませた。 「おい!こらっ!一体、何やねんっ!」 「――何がだ?」 駆け足で追い付いてきた行長を、清正が怪訝そうに振り返る。 「何、やあらへんっ!」 「何だ?肉食いたいんだろ?牛か?羊か?」 「牛!!―…や、なくてっ」 「違うのか?」 「うぅ〜っ、違わへんけど、違うねんっ!」 ぎゅう、と清正の袖を掴む行長。 清正が、緩く笑う。 「しまった、不覚だ」 「何?不覚て――」 チュウ。 「!!??」 清正からまたもやキスされてしまいました。 一方的に、鬼ごっこ続行中。 再び触れただけで離れていこうとする唇を、背伸びをし、清正の襟を掴む事で離れる事を留め、そして強引に舌を絡めた。 されるがままだった清正だが、次第に主導権を握り始める。 「―…んっ…ぅ」 主導権が清正に移り、今度は行長が逃げ腰となる。 しかし、清正に舌を執拗に追われ、腰を抱えられ、逃げようにも逃れられない。 行長の襟を掴む手が震え始めると、仕上げとばかりに、チュッと音を立てて解放した。 「随分と積極的だな」 笑みを浮かべたままの清正に、行長はうるんだ瞳で睨みつける。 「…アホか。今時、触るだけのキスなん、中学生でもしぃへんわ!」 「そうか」 更に笑みを濃くする清正に、もう離せと胸を押しやるが、腰を抱いたまま、来た道を引き返す。 「な?ちょっ!」 「腹が減った」 「め、飯食いに行くんやろ!?」 何で戻るんだ?と抗議するが、清正は行長を引きずってどんどん戻っていく。 「違うものが食いたくなった」 「は?え、ええ!?」 食いたいもの=行長☆ って、オーストラリア来てもいつも通りのオチぢゃん★ みたいな。 真夏の豪州であの子にキッス大作戦を失敗した正則の元に、清正と行長からお土産が届く。 妙なリアルさを兼ねた可愛くないコアラとカンガルーのヌイグルミ。 行きたかったオーストラリア。 うっかり隣の住人は行っていた。 もう、悔しいやら悲しいやらで涙ぐむ正則。 可愛くないコアラとカンガルーのヌイグルミ抱きしめながら涙ぐむ正則を見たら、流石の吉継も気の毒になってきた。 ソファに腰掛ける正則の前に膝立ちする吉継。 「もー…(溜息)ほら、泣かない」 「うぅ〜」 「…ちょっとこっち向いて」 「う?」 顔を上げた正則の唇にキスを落とす。 「!?」 「これで満足した?」 「し、したっ!…あ、いやっ!しとらんっ!」 吉継からキスを貰って、大満足!だけど、やっぱりオーストラリアも捨てがたい。 吉継は、正則の抱えるコアラのヌイグルミをもらうと、抱えて正則の隣に座る。 「日本が夏になったら、オーストラリアに行こっか?」 「へ?」 突然の発言に慌てて吉継を見るが、肩に頭をもたれる様にしている為、顔は見えない。 「冬だから、鬼ごっこは出来るか判らないけど、寒いから…こうやってくっついてられるよね?」 吉継の優しさに、正則ウルウルです☆ 「吉継〜!」 ぎゅ〜っと抱き締め。 今から夏が待ちどおしいです☆ 終わり。 |
佐々木は海外は韓国しか行った事ないです。 司岐は国外に出たためしがないです。 20070210 佐々木健&司岐望 |