ほわいとでぃ☆
正則×吉継






3月14日。
そう。
ホワイトデー☆

バレンタインに思わぬ素敵手作りガトーショコラを貰った正則。
ホワイトデーのお返しに力が入ります。

あ、そうそう。
バレンタインに正則が買ったチョコレート。
ついウッカリ玄関に忘れてました。
次の日に気がつき、吉継に渡したとさ☆





学校を終えて猛ダッシュで帰宅した正則は、玄関開けて、一目散に明かりの点いているキッチンへと向かう。

「吉継!!」
「あっ。おかえり。どうしたの?そんなに慌てて」

丁度キッチンで紅茶を淹れていた吉継が笑顔で迎え、正則の慌しさに苦笑を漏らした。

「ホワイトデーのお返しじゃ!!」

可愛らしい柄の大きなビニールの袋に沢山のクッキーが詰め込まれている。

「ありがと。…もしかして、手作り?」
「おう!今日調理室借りて作ってきた!」

学校に何しに行ってるんだ正則?という質問は受け付けません。

「ふふっ…いっぱい作ったんだね」

大きな袋の中には、顔の大きさと同じくらいのハート型クッキーが幅を利かせ、ベア型、人型、丸や四角のクッキーが沢山入っている。
『このハート、よく割れなかったなぁ』なんて吉継は感心した。

「丁度、紅茶淹れたから、一緒に食べよっか?」
「お、おう!」

袋をテーブルに置き、正則の分のカップを用意するが、何だか正則はそわそわしている様にみえる。

(もしかして、私からのを待ってるのかな?)

今日届いた正則へのお返しを冷蔵庫から取り出す。
ネット上で人気のジャム。
一番人気で正則も好きなストロベリージャムだった。

「はい正則。私からのお返し」
「へ?」
「私も貰ったしね」

そう言って正則の手に乗せると、驚きから笑顔に変わり、ジャムの瓶をアチコチから眺める。
その様子を微笑ましく見て、用意したカップに紅茶を注いだ。
そして、クッキーの封を開けようと、袋を手に取ると、再び正則がそわそわし始める。

正則は料理好きで、作るのも上手。
お菓子作りも得意。
そんな正則が自身が作ったクッキーに不安が有るとは思えない。

不思議に思いながら封を開けると、美味しそうな香りが袋から流れ出してくる。

「美味しそう…」
「自分で言うのもなんじゃが、良い出来じゃぞ!」

背を正し、胸を張って答える正則。
それに頷くと、まずは大きなハート型のクッキーを取り出した。

「大きな…?」

ハートのクッキーを取り出すと、その後ろに隠れる様に紙の包みが有る。
吉継がそれに気付くと、正則の緊張はピークに達したように、吉継の顔を凝視した。

「これは?」
「あ、開けてみてくれ!」
「…うん」

正則に促され、紙の包みを取り出し、開くと…。

ネックレスが入っていた。

ハート型。

あの有名なティファニーのオープンハート。

「コレって…」
「く、クッキーもそうじゃが、それがワシからのお返しじゃ!」

お返しって、こんな高価なものを?
っていうか、コレって女物じゃないの?

なるほど、だからそわそわしてたのか。
色々と呆れてしまう。

「正則…」

溜息混じりで正則の名を呼ぶと、正則は渡した事に満足なのか、少し顔を赤らめながらも、満面の笑みを浮かべている。
何だかその顔を見ていたら、怒る気も失せてしまった。

正則に悪気は無い。
吉継に似合う物、渡したい物として購入しただけのこと。

ここは気持ちとして、有り難く受け取っておくしかないか。

と吉継は苦笑を浮かべた。

「ありがと。正則」
「おう!!気に入ってくれたか!?」

気に入ったかどうかは、ちょっと微妙なところ。

「う、うん。これ、大切にするから…今後こんな高価なもの買っちゃ駄目だよ?」
「う?…じゃが…」

また、こんなアクセサリーを渡されても、ちょっと困る。
でも、どうやったら納得してくれるか。

悩んだ吉継は、正則に微笑み掛け、

「正則が居てくれるだけで、私は幸せだから」
「吉継〜!!」

がたんっ
ゴトンっ
バキ。

正則が感動で立ち上がった際に聞こえた音。

テーブルを見ると…。

立ち上がった時に、ジャムの瓶が皿の上に置かれたハート型クッキーの上に倒れ―――ハートが見事に真っ二つに割れました★








終わり。



慌てて作成ホワイトデー話…。

20070314   佐々木健