現代パロ。
正則×吉継「酔っ払い正則電車乗り過ごし事件」





吉継が風呂から出てくると、携帯の着信ランプが光っている。確認すると、着歴が塗り替えられていた。
折り返し掛けると、

『お〜ワシじゃあ、正則じゃ!』
「(こっちから掛けてるんだから、わかるよ…)また乗り過ごしたの?」

吉継の問いかけに、電話の向こうで笑う気配がする。

『よ〜う解ったのぅ』
「今月何回目?」
『はて?数えとらん』

月もまだ半ばというのに、すでに5回目。吉継は深く溜め息を吐き、

「今何処?」
『ん〜……』

間延びした声が聞こえる。

「正則?」
『……』
「ちょっと!正則!?」

正則、どうやらご就寝の様子。

「…寝やがった…」

仕方ないので、一旦電話を切り、GPS機能を使って居場所を探す。二駅行った所と判明。車の鍵を持って玄関を出ると、隣の清正と鉢合わせる。

「あれ?今から出掛けるの?」

呆れ顔が返ってくる。

「…行長が乗り過ごしたらしい。吉継は?」
「ははっ…同じく」

どちらも似たような状況だ。
清正も風呂に入っていたのか、髪がまだ濡れている。

「何処なんだ?」
「○○駅みたい」

吉継が答えると、清正から苦笑交じりの笑みがこぼれる。

「近くて良いな。アイツ因りにも終点まで行きやがった…」

終着駅というと、此処から車で1時間近く掛かる場所だ。

「うわ、災難だね。行長は寝ると起きないからねぇ…気を付けてね」
「ああ、そっちも」

手を上げて別れた。








駅まで辿り着くと、携帯を握ったままベンチで寝ている正則を発見。
タクシー以外見当たらないロータリーに車を停め、正則の元に向かう。

「正則、起きて」

どんな夢を見ているのやら、にやけ顔で寝ている正則の肩を揺らして起すと、しかめっ面をした後薄く目を開く。

「う〜……うお!?吉継じゃあ!」

目覚めたと思ったらいきなり吉継の腰に抱きついた。

「ちょっ…正則!」
「ん〜。石鹸のい〜匂いがする〜」

吉継の腹に顔を埋めスリスリする。

「ハイハイ。もう、帰るよ」

ポンポンと肩を叩く。
酔っ払いに怒っても仕方が無い。

「もう帰るんか?」

腹に埋めていた顔を上げる正則に苦笑がもれる。

「ベンチで寝たいなら置いていくけど?」
「行きたい場所がある!」
「は?」

こんな時間に?と言いかけた吉継に、正則がビシっと指を指す。
その方向を見れば、キラビヤかなネオンの…ラブホテルだった。

吉継は完璧な笑顔を作ると、拳を正則のこめかみに当て―――グリグリした。

「いだだだだだ!」
「行きたいなら、一人で行っておいで。私は帰るから」

腕から解放された吉継は正則を置いて車の停めてある方へ歩いて行く。それを慌てて追いかける。

「ほんのオチャメな冗談じゃ〜!スマン!もう言わんで!」

と平謝り。

なんとか、車に乗せてもらい。無事帰宅をしましたとさ。





ちなみに、お隣の清正は、迎えに行ったものの、普通に朝帰り。どうやら、キラビヤかなネオンのホテルにお泊まりになられたご様子。
清清しい顔の清正と、二日酔いと虚脱感たっぷりの行長が目撃されました。




そんな。感じ。



終わり。


現代パロ。
第一弾。
こんな感じで、どうでもいい日常を追っていきます。
ちなみに、元ネタは司岐が普通に乗り過ごした事件が発端。


20061112   佐々木健