降雨




雨が降る

土埃に煙る街を浄化するように

雨が降る

浄化出切れば良いのに


雨の降る様を眺める。

眺めるだけならば、


よくある出来事。


雨の中に佇み。

その身を濡らす。

雨を吸い、重くなっていく衣服も気にせず。

雨の中に佇む。



―――懺悔をするように―――



傘を差し、足早に去っていく世界に切り離された独り。



最善の判断
後悔せぬよう
最善の判断を…



私は後悔などしていない…しない。

降り止まぬ雨に

鬱になる





それだけだ。











「ライドウ。そろそろ帰って来ないかい?」

後ろから掛けられる声に、緩慢な動きで振り返る。

「鳴海さん…」

随分と掠れた声。

「そのマントは、雨合羽ではないんだから」

苦笑交じりに零された言葉が、うまく頭に入らない。
動く気配を見せない私の手をとり、彼が歩き始め、引っ張られる身体に受動的に足が前に出る。

「後悔するんだ。誰もお前を責めはしない。後悔しろ。そして、人は前に進むんだ」






雨が降る

土埃に煙る街を浄化するように

雨が降る










突然思い立った為。
多分壱拾壱話後



佐々木健