「して、何故お前は『葛葉ライドウ』の名を襲名した?」
「何故?……周囲にそのようにするよう、言われましたので……」
「自身の意思ではないのか」
「私の意志なぞ関係なく」
「…お前は、元よりの葛葉ではなかったな。生まれは?」
「尾張の熱田です」
熱田大神…葛葉にとって都合が良い…
「…成程な。お前は後悔はしていないのか?」
「後悔?貴方は、私に後悔して欲しいのですか?」
「さあな…」
「…ゴウトは優しいですね」
「俺を優しいなどと言うか。お前の頭はオカシイな」
「そうでしょうか?」
「そうだ。とんだ気狂いだ」
「…習うより慣れろ。その世界で何かを教えてくれたのは、ゴウトが初めてです。」
「お前が頼りないからだ。何かを取りこぼして、一緒に奔り回されるのは御免だ」
「では、そのように…」
「ふんっ」
「…貴方は……変えようとしたのでは?」
「さあな」
「私も業斗童子になれるでしょうか?」
「お前なんぞが、成るような罪を犯せるとは思えんな」
「そうですね」
「お前一人が刃向ったところで、何も変らない」
「そう、ですね」
「農民がお上に逆らうのと同じような物だ。意味すら成さない。此処まで従順に来たんだ。何事もなく生涯を閉じろ」
「ゴウトは本当に優しい」
「其以上言うなら、引掻くぞ」
「それは痛いので、もう止めます」
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―――駒に過ぎなくとも
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